タケムラ
先日のドタバタツアーの間、出雲から北九州に移動したその日、
俺とスタッフ荒川は北九州・八幡でロードバイクに乗った。
本当は八幡から峠を上り、直方を抜け山間を通り、博多へ。
んで、そこから国道沿いにまた八幡に戻ってくるという
距離にして130〜140kmの行程を考えていたのだが、
いかんせん出雲から八幡に着いた時間が遅く、
全行程はとても無理と判断。
皿倉山という八幡にそびえる山を上がり、
超短いコースで帰ってくる事にした。
「そびえる」と書いたが、実際は7km程度上がれば頂上という
まあお手軽な山だ。
荒川と走り出した時間がすでに16時頃。
はやくしないと日が暮れてきてしまう。
2人でヒィヒィ言いながら上ったのだが、頂上からの景色は抜群!
「おぉ〜すっげ〜!」と年甲斐も無くハシャぐ男2人。
後で聞くとこの皿倉山、景色(特に夜景)が綺麗で有名。
絶好のデートスポットなんだそうな。
そこに汗だくの男2人・・・。
ちにみにこの日は全国的に冷え込んだ日で、
11月頭だというのに最低気温が8〜9℃という、もはや冬。
頂上は風も強く、日が暮れ始めてる山頂はかなり寒い。
「こっからどうする?」
俺達は考えてた。
来た道をサクッと降りて今日のライドは終わりにするか、
せめて山の向こう側に下りて、最短距離コースで八幡のホテルに戻るか?
来た道をそのまま戻るのも短いし、つまらない。
日が暮れかかってはいるが、下りなんてすぐだし、
山を下りてしまえば街灯があるから大丈夫だろ、俺達はそう判断。
意気揚々と下り始めた。
身体に当たる風はかなり冷たいが、
チャッチャと下れば10〜15分のはず。
そんな事を考えながら下っていた俺達。
すると・・・、あれ?
今まで舗装されてた道が、何故か砂利道に。
最初はそれでもゆっくりと下っていたが、
砂利に加え、拳大の石も混じるようになり、
加えて凸凹、水たまり、路肩の崩落など
とてもじゃないが自転車で走れる道では無くなってきた。
そしてスピードをかなり落として走っていたせいか、
既に日は落ち、辺りはもはや暗闇に。
只でさえ悪い状態の路面が見えないのでは危なすぎる。
俺と荒川は仕方無く自転車を降り、押して歩き始めた。
「何だよこの道〜!最初の方しか舗装されてないってどういう事だよ!」
ブツブツ言いながら歩いていたが、辺りは暗闇、気温は低く、
正直かなり寒い。おそらく気温はひとけた台にも関わらず
2人とも薄い長袖、短パンという軽装の極み。
正直ダウンジャケットが欲しい位の寒さだ。
最初は「何だよ〜」と文句を言いながら歩いていた俺達だったが、
その内、寒さからか一言も発しなくなっていった。
真っ暗な闇の中で、不意に発せられる物音。何故か揺れる木々。
な、何だかとても不気味なんですけど・・・。
道を歩いてはいるものの、これが正しいルートかどうかも実はあやふやで
もしかしたらケモノ道的なものに迷い込んでしまっているのかも。
その場合はどうしたらいいんんだろう?
最悪、来た道を引き返せばいいのか?
いや、引き返す事自体、きちんと引き返せるんだろうか?
不安要素が闇の中からどんどん湧いてくる。
押し黙ってただ歩く2人の沈黙を破ったのは荒川だった。
「竹村さん・・・」
「僕達・・・」
「軽く遭難してますね、コレ」
うわあああああああ!
言うな、荒川〜!
その言葉を言ってはならん〜!
実は俺も思ってた。
でも口に出したら、それを認めた事にもなり、
それが現実の物としてのしかかってくる。
そんな気がして「いや、大丈夫。俺達は無事帰れる」と
無理矢理に自分に言い聞かせていたのだ。
しかし、軽い遭難はもはや現実。
2人中2人が「俺達、遭難しちゃってる」という認識なのだから、
完全に「遭難支持率100%」だ。
これは絶好調時の小泉内閣の支持率さえも上回る数字。
俺達は最悪の場合を考え、まず点けていたライトを消した。
街灯も無い山道でライトを消すと、まさに暗闇だったのだが
当日は月が出ており、山道に生い茂った木々の間から
その光が時折、かすかに地面を照らしてくれてもいる。
目が馴れてくれば、歩けない事は無い。
本当に光が必要になった時にライトの電池を取っておかねば、
と思い、俺達はライトを消した。
そして俺達の遭難は決定した。
続きは次回。
俺とスタッフ荒川は北九州・八幡でロードバイクに乗った。
本当は八幡から峠を上り、直方を抜け山間を通り、博多へ。
んで、そこから国道沿いにまた八幡に戻ってくるという
距離にして130〜140kmの行程を考えていたのだが、
いかんせん出雲から八幡に着いた時間が遅く、
全行程はとても無理と判断。
皿倉山という八幡にそびえる山を上がり、
超短いコースで帰ってくる事にした。
「そびえる」と書いたが、実際は7km程度上がれば頂上という
まあお手軽な山だ。
荒川と走り出した時間がすでに16時頃。
はやくしないと日が暮れてきてしまう。
2人でヒィヒィ言いながら上ったのだが、頂上からの景色は抜群!
「おぉ〜すっげ〜!」と年甲斐も無くハシャぐ男2人。
後で聞くとこの皿倉山、景色(特に夜景)が綺麗で有名。
絶好のデートスポットなんだそうな。
そこに汗だくの男2人・・・。
ちにみにこの日は全国的に冷え込んだ日で、
11月頭だというのに最低気温が8〜9℃という、もはや冬。
頂上は風も強く、日が暮れ始めてる山頂はかなり寒い。
「こっからどうする?」
俺達は考えてた。
来た道をサクッと降りて今日のライドは終わりにするか、
せめて山の向こう側に下りて、最短距離コースで八幡のホテルに戻るか?
来た道をそのまま戻るのも短いし、つまらない。
日が暮れかかってはいるが、下りなんてすぐだし、
山を下りてしまえば街灯があるから大丈夫だろ、俺達はそう判断。
意気揚々と下り始めた。
身体に当たる風はかなり冷たいが、
チャッチャと下れば10〜15分のはず。
そんな事を考えながら下っていた俺達。
すると・・・、あれ?
今まで舗装されてた道が、何故か砂利道に。
最初はそれでもゆっくりと下っていたが、
砂利に加え、拳大の石も混じるようになり、
加えて凸凹、水たまり、路肩の崩落など
とてもじゃないが自転車で走れる道では無くなってきた。
そしてスピードをかなり落として走っていたせいか、
既に日は落ち、辺りはもはや暗闇に。
只でさえ悪い状態の路面が見えないのでは危なすぎる。
俺と荒川は仕方無く自転車を降り、押して歩き始めた。
「何だよこの道〜!最初の方しか舗装されてないってどういう事だよ!」
ブツブツ言いながら歩いていたが、辺りは暗闇、気温は低く、
正直かなり寒い。おそらく気温はひとけた台にも関わらず
2人とも薄い長袖、短パンという軽装の極み。
正直ダウンジャケットが欲しい位の寒さだ。
最初は「何だよ〜」と文句を言いながら歩いていた俺達だったが、
その内、寒さからか一言も発しなくなっていった。
真っ暗な闇の中で、不意に発せられる物音。何故か揺れる木々。
な、何だかとても不気味なんですけど・・・。
道を歩いてはいるものの、これが正しいルートかどうかも実はあやふやで
もしかしたらケモノ道的なものに迷い込んでしまっているのかも。
その場合はどうしたらいいんんだろう?
最悪、来た道を引き返せばいいのか?
いや、引き返す事自体、きちんと引き返せるんだろうか?
不安要素が闇の中からどんどん湧いてくる。
押し黙ってただ歩く2人の沈黙を破ったのは荒川だった。
「竹村さん・・・」
「僕達・・・」
「軽く遭難してますね、コレ」
うわあああああああ!
言うな、荒川〜!
その言葉を言ってはならん〜!
実は俺も思ってた。
でも口に出したら、それを認めた事にもなり、
それが現実の物としてのしかかってくる。
そんな気がして「いや、大丈夫。俺達は無事帰れる」と
無理矢理に自分に言い聞かせていたのだ。
しかし、軽い遭難はもはや現実。
2人中2人が「俺達、遭難しちゃってる」という認識なのだから、
完全に「遭難支持率100%」だ。
これは絶好調時の小泉内閣の支持率さえも上回る数字。
俺達は最悪の場合を考え、まず点けていたライトを消した。
街灯も無い山道でライトを消すと、まさに暗闇だったのだが
当日は月が出ており、山道に生い茂った木々の間から
その光が時折、かすかに地面を照らしてくれてもいる。
目が馴れてくれば、歩けない事は無い。
本当に光が必要になった時にライトの電池を取っておかねば、
と思い、俺達はライトを消した。
そして俺達の遭難は決定した。
続きは次回。
by ex_snail_ramp
| 2009-11-11 06:13
| タケムラ(自転車)
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